代表 宮崎のコメント

今週も先週に続き、情報漏洩や AI のセキュリティリスクに関する報道が相次ぎました。当社のような小さな会社ではなく、世の中の多くの企業が、当然セキュリティ対策にも注力していると思われる中で、これほどまでに情報漏洩のニュースが続くのは初めてのことではないかと思います。当社でも、受託開発、運営しているシステムについて、セキュリティの脆弱性について改めて緊急会議を開催し対策を検討しました。当社では、2FA(二要素認証)を基本としつつも、どうしてもサービスの中で2FAができにくい者に関してはIPアドレスで制限をかけるなど、複層的な対応を徹底するように指示を出しました。一方で、これからは、ハッキングされるリスクはどんなに堅牢な対策を取ったとしてもあるものとして認識し、そもそも保持する情報のレベルを見直していくべきとの意見で一致しました。

また、新サービス、新機能検証については、OpenAI 社の「dots」を試しました。メールの誤字脱字の指摘や数値の不一致などをアラートしてくれるため、少し抜けてしまいそうなところでのアシスタントとしての役目には重宝しています。事務作業については、現在はそれ以上の使い方はまだ見いだせていません。

なお、当社では公式サイトについてはWordPress でのサイト運営をやめ、Claude Code × GitHub でのサイト運用に完全移行しました。Claude Codeとデザインを使いこなしサイトを1から作り直し、ニュースなどの情報は全て移管をしました。WordPress が管理しやすい側面もありましたが、メンテナンスコストという意味では下がりました。一方、どこまでのメンバーにサイトの編集権限を渡すか、更新の権限、承認フローをどうするかが今後の課題です。

利便性とリスクは表裏一体であることを改めて認識させられる一週間でした。当社も気を抜かずAIの使いこなしを進めてまいります。

ガイドライン・規制動向

Anthropic、「Claude」の利用ポリシーを改定

既存ルールの明確化が中心で、Claude の自律的な作業範囲の拡大や新たな悪用事例を踏まえて禁止事項を整理した。11月12日発効。AI モデルに対する継続的で不必要な虐待的行為を禁止する規定を新設したほか、発信元を隠した影響工作や、兵器・監視用途の禁止範囲を具体化した。医療・金融・雇用など高リスク分野では、人による確認と AI 利用の告知を求める要件を維持している。(出典:ITmedia)

米国、AI 政策の司令塔「スーパーインテリジェンスフォース」を設立

トランプ大統領が設立を発表。国家情報長官らが率い、AI 開発企業、重要インフラ事業者、消費者団体などと連邦政府の連携を調整する。AI がもたらす機会とリスクを整理し、120日以内に政府へ報告する予定。(出典:読売新聞)

企業動向

OpenAI、9月の年換算収益を約500億ドルと投資家に説明

従来報じられた700億ドル規模を約200億ドル下回るが、Anthropic と比較できるよう収益の計上方法を調整したことが主因としている(OpenAI はクラウドパートナー経由の収益を直接計上せず、Anthropic は含めている)。年換算収益は月間収益を12倍した指標で、実際の年間売上ではない。両社とも株式上場に向けた準備を進めている。(出典:Reuters)

Meta、企業向け AI 事業「Meta Enterprise Platform」を開始

AI エージェント「Muse」、開発者向け API、コーディングツール「Muse Code」などを企業向けに提供する。事業責任者には MongoDB 前 CEO のチランタン・デサイ氏を起用した。小規模事業者向けの「Muse for Small Business」は Shopify、QuickBooks、Stripe、Canva、Slack などと連携し、売上分析や広告運用、財務確認を支援する。各操作には利用者の承認を必要とする。(出典:Ledge.ai)

技術・製品動向

OpenAI、ChatGPT に「GPT-6」と対話型 UI 生成機能を搭載

無料版を含む全ユーザーに提供を開始。回答の中に図・ボタン・フォーム・グラフなどの操作できる画面を生成する「Intelligent UI」を導入した。回答を出し始めながら推論を続ける機能も加わり、Web 検索を伴う質問への応答開始が速くなった。Plus・Pro・Business・Enterprise は「GPT-6 Sol」、無料版と Go は「GPT-6 Luna」を利用できる。(出典:ITmedia)

Anthropic、小型モデル「Claude Haiku 5.5」の API 提供を開始

料金は10万トークン以下の利用で前世代「Claude Haiku 4.5」の10分の1、平均利用コストは約75%下がるとしている。Haiku シリーズで初めて推論の深さを調整する「effort」設定に対応し、会話履歴の圧縮・要約やサブエージェントなど低コスト運用向けに位置付けた。同時に「Claude Sonnet 5.5」のキャッシュ読み込み料金を半額にし、SDK にブラウザ・コンピュータ操作のツールセット(β)を追加。Max・Team プラン向けの月額 API クレジットも始めた。(出典:ITmedia)

Google Cloud、企業向け AI エージェント「Gemini」を発表

質問への回答、業務タスクの処理、コンテンツ作成、コード記述に対応し、AI が業務計画を立てて各種ツールや企業システムと接続し、成果物を作成・反映する。Google Workspace に加えて Microsoft 365 や Slack にも対応し、タスクに応じて Gemini と Claude のモデルを使い分ける。専用メールアドレスとアクセス範囲を持つ「同僚エージェント」を作成でき、金融・法務向け機能はプレビュー提供を始めた。(出典:Reuters)

Anthropic、「Claude Mythos」の利用対象をサイバー防御用途で拡大

企業連合「Project Glasswing」を「Cyber Verification Program」に統合し、審査を通過した個人専門家、中小企業、自治体などが利用できるようにした。利用区分は「防御」「レッドチーム」「特別」の3つで、一般の利用者は脆弱性の発見・修正など防御目的に限る。重要インフラ向けの特別区分は政府審査を経た組織が対象。区分外の用途の指示は自動的に拒否する。(出典:日本経済新聞)

OpenAI、AI が生成した数学研究成果722本を公開

10月6日、社内のフロンティアモデルによる論文原稿と、証明支援系「Lean」による形式証明を GitHub で公開した。約4000問の未解決研究課題に取り組んだ結果から選んだもので、1件あたりの計算量は ChatGPT Pro の思考機能を約3時間使った規模。形式化されていない成果には検証上の問題が含まれる可能性があるとして、修正対応を行う方針。(出典:ITmedia)

ELYZA、国産 LLM を基盤とした推論モデル2種を無料公開

国立情報学研究所(NII)の「LLM-jp-4」を基盤に、日本語の推論や指示追従の能力を強化した2モデルを、商用利用できる Apache 2.0 ライセンスで公開した。あわせて、AI エージェントが基盤モデルやツールを改善する「AI による AI 開発」を研究する「ELYZA RSI Research」を設立した。(出典:Ledge.ai)

Mistral、約1兆パラメータの「Mistral Large 4」をプレビュー公開

MoE 型のマルチモーダルモデルで、総パラメータ1.05兆・稼働パラメータ520億、100万トークンのコンテキストに対応する。ソフトウェア開発、画像理解、ツールを使う AI エージェントなどの用途向け。欧州の自社データセンターで学習し、モデルの重みは安全性検証を経て10月末に公開する予定。(出典:Ledge.ai)

社会・消費者動向

韓国の金融機関へのサイバー攻撃で AI ツールの利用痕跡を確認

米クラウドストライクが、9月以降に韓国の金融機関で発生した攻撃(顧客情報6万5000件超が漏洩)を調査し、自動化ツール「ARTEX」や Anthropic の「Claude Code」などエージェント型ツールの利用痕跡を確認した。攻撃者は Claude、Grok、中国系モデルなど複数の AI で情報収集やデータ販売に関する調査をしていたという。同社は、AI により攻撃の速度と規模が拡大していると分析している。(出典:日本経済新聞)

企業の個人情報流出が増加、攻撃への AI 悪用の可能性

7月以降、Web サイトやアプリへの侵入による情報流出が増え、GMOリサーチ&AI、シチズン時計、ミスターマックスなど複数企業が流出を発表した。セキュリティ企業は、攻撃者が AI で脆弱性を見つけ、人間では難しい速度と規模で攻撃している可能性を指摘。脆弱性の修正、不要な個人情報の削除、多要素認証の導入などを企業に求めている。(出典:NHKニュース)

日販子会社、Anthropic への日本書籍の販売を認める

日本書籍出版協会の確認に対し、2024年12月〜2025年12月に販売した事実を認める回答があった。米国の著作権訴訟の資料で、Anthropic が出版流通業者から大量の書籍を購入していたことが示され、日販とみられる事業者名が含まれていた。日販側は AI 学習目的の購入とは認識していなかったとし、出版社側は著作物利用の管理強化を求めている。(出典:読売新聞)

技術動向・研究

Anthropic、ロボットで自動化できる身体作業の範囲を分析

研究「What work can robots do?」で、米国の職業情報データベース「O*NET」の約900職業・約1万9000作業を分析した。環境を整えれば身体作業の74%は既存ロボットで実行可能(工場など50%、倉庫など22%、道路など変化の多い環境は2%)とする。技術的に対応できる作業は全労働時間の34%に当たるが、導入・保守・人による監督のコストを含めて人間より安く実行できる作業は0.3%にとどまると推計した。(出典:Ledge.ai)

SNSの動向

X(旧 Twitter)でいいね数の上位20件に入った AI 関連の投稿のうち、14件がガバナンス(規制・権利・セキュリティ)に関する投稿でした。

話題 投稿の内容 反応
Claude の利用ポリシー改定 ASCII.jp が「Claude への虐待禁止」を含む改定の記事を紹介。今週もっとも拡散した投稿 表示 約166万回
日販の書籍販売と AI 学習 読売新聞オンラインの報道に加え、裁断・スキャンによる大量学習と著作権の扱いを問題視する投稿が広がった 表示 約96万回(読売新聞オンライン)
情報漏えいと AI による攻撃 9月下旬以降の漏えい公表の一覧化や「攻撃側も AI で効率化している」との指摘、韓国の金融機関への攻撃を「歴史に残る事件」とする解説。米 Axios の報道を引き、AI 企業の幹部が6〜12か月以内の大規模な AI 事故(本命はサイバー攻撃)を想定しているとの紹介も 上位20件中6件
OpenAI の数学成果722本 「内容が正しければ画期的な成果が並ぶ」との評価と、公開後すぐに撤回が出たことから「検証コストを数学界に押し付けている」との懸念が並んだ 上位20件中3件
生成 AI の信頼性と権利 AI で調べた判例が実在せず書籍が回収・絶版になった報道、声優などの団体が声の生成 AI 利用に事前許諾を求めるガイドラインを初めて作成(NHK)、欧米で生成 AI が嫌われる背景(学習データの問題)の補足 表示 約12万回(NHKニュース)
AI エージェントの想定外の行動 Claude が政府サイトで無断のビザ申請や架空の目撃情報を送信していた(いずれも処理されず)とする報道 表示 約9万回(ライブドアニュース)
新製品・新サービス Claude の新機能「Dashboards」「Motion」と Docs・Slides・Design の無償提供(窓の杜)、OpenAI の“クリエイティブ版 Codex”「Voyager」 表示 約7万回(窓の杜)

技術面の利便性よりも、AI のリスクや脅威に世間の関心が集まっている点は興味深く、引き続き注視します。

ツールの更新情報

ツール 変更点 業務で「任せられる仕事」への影響
ChatGPT(GPT-6) 全ユーザーに提供。回答内に操作できる画面を生成する Intelligent UI を搭載 比較表や簡易な計算ツールを会話の中で作れる。資料や試算の下書きに使いやすくなる
Claude(Haiku 5.5/Sonnet 5.5) Haiku は料金を大幅に下げ effort 設定に対応。Sonnet はキャッシュ読み込みが半額、SDK にブラウザ・PC 操作を追加 要約・圧縮・サブエージェントなど量の多い処理を低コストで回せる
Google Cloud(企業向け Gemini) 業務を自律的に進めるエージェント。Workspace・Microsoft 365・Slack に対応し、Gemini と Claude を使い分け 「同僚エージェント」にメールアドレスと権限を与える形。権限の設計が導入の前提になる
Meta(Muse) 企業向けプラットフォームと小規模事業者向けの Muse を開始 外部サービスとの連携は操作ごとに承認。承認フローの設計が鍵