今回の事例で獲得した成果
- 稼働可能時間(営業時間から不在と会議を引いた時間)と今週の負荷(今週期限の課題、持ち越し、週例シートのタスク)を突き合わせ、🔴(このままでは溢れる)/🟡(余裕が薄い・特定の日に集中)/🟢(余裕あり)を根拠の数字付きで判定する形にしました。 数字が足りなければ「判定不能」とし、推測で埋めません。
- ひっ迫しているかどうかで、投げる問いを変える設計にしました。 ひっ迫している場合は「詰まりそうな箇所」「一人で抱え込んでいる仕事」「任せられる人」を、そうでない場合は「前後の工程でやるべき仕事」「上長や同僚に手助けできること」を問います。
- 対話の結果を「今週のアクション宣言」「上長に意思決定して欲しいこと」「依頼・巻き取りの宣言」として決まった見出しのメモに残し、金曜の週報エージェントが読み込みます。 週初めの段取りと週末の振り返りが、同じメモでつながります。
- チームの情報は温度感の一言までに留めました。 他メンバーのカレンダーは見ず、不在の理由は出力せず、詳細なタスク一覧や負荷のランキングも作りません。手伝いの声かけはSlackの文面の下書きを示すだけで、送信はしません。
- 月次ではカレンダーの全予定を8つの時間区分に分け、役割ごとの暫定の目安と比べて時間の使い方を振り返る形にしました。 運用記録は週次5回・月次3回で、週次は毎週続いていません。
取り組んだ課題
カレンダーには会議や外出の予定は入りますが、締切のある作業に充てる時間が確保されているかは、カレンダーだけでは分かりません。タスクはプロジェクト管理ツール(Backlog)や週例のシートに、助けを求める声はチャット(Slack)に分かれています。週の途中で溢れそうだと気づいてからでは、仕事を任せたり、上長の判断を仰いだりする時間が限られます。
そこで、月曜の朝にこれらを集めて自分の今週の負荷を数字で見通し、対話で「何を任せ、何を手伝い、何を上長に決めてもらうか」を決めるエージェント(週次ブリーフィング)を作りました。あわせて、月に1回、カレンダーから時間の使い方そのものを見直す月次振り返りのエージェントも運用しています。週次で「やることをやったか」を、月次で「そもそも正しい時間の使い方をしていたか」を見る、という分担です。
実施内容の概要
人とAIの役割
| 担当 | 役割 |
|---|---|
| 社員本人 | 3つの問いに答え、今週のアクション宣言(1〜5個、行動レベル)、上長への意思決定の依頼、依頼・巻き取りの宣言を自分の言葉で決める。月次では来月の行動目標を確定する |
| 上長 | 週例で、意思決定の依頼を受けて判断する |
| AIエージェント(週次ブリーフィング) | 4つの情報源を読み取り、稼働可能時間と負荷を集計してひっ迫度を判定する。優先順位付きのタスク・締切・会議、チームの温度感、取れるアクションの候補をまとめ、3つの問いを1問ずつ投げる。HTMLのレポートと週報用のメモを出力する |
| AIエージェント(月次振り返り) | 1か月分のカレンダー、Backlog、週次のメモと週報を読み、時間配分・場所と顧客接点・付き合う人の3軸で集計する。3つの問いで振り返りを促し、来月の行動目標のたたき台と、展示会・勉強会などの候補を示す |
利用環境
- AIエージェント:Claude Code(スキル)。月曜の朝と月初に、手動で起動します。
- データ:本人のGoogle カレンダー、Backlog(自分の担当課題。他メンバーは件数のみ)、Slack(自分宛ての未返信のメンション、チームの「間に合わない」「ヘルプ」などの声)、週例のスプレッドシート(チームの不在予定、メンバー別のタスク)
- 操作:すべて読み取りのみ。カレンダー・Backlog・シートへの書き込みや、Slackへの送信は行いません。
- Backlog の認証情報は、ログや設定ファイルから探さず、本人に確認します。
変更した工程
人だけで行う場合は、カレンダー、課題管理、チャット、週例シートを順に開いて今週の予定とタスクを確かめ、頭の中で段取りを組む、という流れになります。週次ブリーフィングを使う流れは次のとおりです。
- データ収集:週例シート(不在予定は理由を読まない)、自分のカレンダー(会議時間の合計、まとまった作業時間がどこに残っているか、予定の重複)、Backlog(今週期限・期限超過・処理中で停滞している自分の課題、担当者が未設定の課題)、Slack(未返信のメンション、チームのヘルプのサイン)を集める
- 分析:自分の稼働可能時間と負荷を突き合わせて🔴🟡🟢を判定し、根拠の数字を添える。チームは各メンバーを「🔴っぽい/🟡っぽい/🟢っぽい/不明」と根拠一言で示す
- テキストレポート:3行以内のサマリ、優先順位付きのタスク・締切・会議(作業時間が確保されていない締切に⚠)、チームの温度感、自分が起こせるアクション(1〜3個、Slackの声かけの下書き付き)、今日中に伝えるべきことを示す。自分が🔴なら「何を・誰に・いつまでに助けてほしいか」の発信文を示す
- 対話(1問ずつ、回答を待つ):①ひっ迫判定にもとづく問い、②週例で上長に意思決定して欲しいこと、③見落としている視点。②③では、データから見える候補(承認待ち、予算、優先順位の衝突、放置されている案件、連続で持ち越しているもの、カレンダーにない口約束のタスクなど)をAIが1〜2個添える
- 出力:HTMLのレポートと、金曜の週報エージェントが読むメモ(自己判定、今週のアクション宣言、上長に意思決定して欲しいこと、見落としていた視点と対応、依頼・巻き取りの宣言)を保存する
月次振り返りでは、1か月分の予定を「顧客接点(対面)」「顧客接点(オンライン)」「社内会議・マネジメント」「戦略・企画」「個人作業(高付加価値)」「個人作業(低付加価値)」「社外活動・学び」「移動・その他」の8区分に分け、メンバー・マネジャー・経営者の役割ごとの目安と比べます。目安は運用しながら直す「暫定基準」としてレポートにも明記し、評価や説教はせず、事実を示して本人に問う形にしています。有料のイベント候補は、参加したい場合は会社に申請するよう案内するだけで、申込みや連絡は代行しません。
結果と検証条件
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 代表自身の週次ブリーフィングと月次振り返り |
| 運用記録 | 週次ブリーフィング5回(2026年7月6日・13日・20日・27日、9月14日の週)、月次振り返り3回(2026年7月分・8月分・9月分)(出力ファイルの記録による) |
| 成果物 | 週次:HTMLのレポートと週報用のメモ。月次:レポートと翌月用のメモ |
| 人の関与 | アクション宣言・上長への依頼・行動目標は本人の言葉から作り、確認を取ってから保存する。分類が推定の予定は推定と明記し、曖昧なものは対話の中でまとめて1回だけ確認する |
| 段取りにかかる時間 | 計測していません |
| ワークシェア(任せた・手伝った件数) | 計測していません |
| 初期構築の工数 | 計測していません |
この結果は当社の取り組みの記録です。同じ方法で同じ結果が得られることを示すものではありません。
うまくいかなかったこと・適用上の限界
- 週次は毎週続いていません。 7月は4週続けて回しましたが、8月は週次ブリーフィングの出力がなく、9月も1回です。月次振り返りは3か月続いています。
- 運用記録は代表自身の分だけです。 手順書は社員本人が使う前提ですが、他の社員での運用記録は確認していません。
- チーム全体の負荷管理の道具ではありません。 他メンバーの情報は温度感の一言と件数のレベルに留める設計のため、誰に任せるかの判断材料は限られます。
- カレンダーと課題管理に載っていない仕事は見えません。 口約束のタスクなどは、問い③で本人に思い出してもらう形で補っています。
- ツールの接続に手間がかかる場面がありました。 週例シートは連携ツールでは先頭のタブしか読めなかったため、ファイルとして取得して読む方法に切り替えました。Backlog も、接続の設定がうまくいかない環境ではAPIを直接呼び出す方法を使っています。
- 月次の時間区分はカレンダーの予定名からの推定です。 予定の入っていない時間は個人作業とみなし、高付加価値か低付加価値かは本人の自己評価に頼っています。
他の企業で検討する際のポイント
- 「忙しいかどうか」を感覚ではなく、稼働可能時間と負荷の数字で判定させ、根拠を添えさせる。
- ひっ迫しているときは「任せる」、余裕があるときは「手伝う」と、状態に応じて問いを変える。
- 上長に判断してほしいことを週初めに書き出させ、週例の議題と週末の振り返りにつなげる。
- 他メンバーの情報をどこまで扱うか(不在の理由、詳細なタスク、負荷のランキング)を手順書で先に決める。
- 書き込みや送信はさせず、声かけの文面は下書きの提示に留める。
- 時間配分の目安は暫定のものとして示し、本人の振り返りの材料にする。
- 効果を確かめたい場合は、任せた・手伝った件数や段取りの時間を導入前から記録しておく。
