今回の事例で獲得した成果
- 見出しを全件集めてから、除外・重複統合・分類をエージェントに任せると、週ごとに同じ形式の一覧を作れました。 2026年10月4日〜10日の週は2,847件を取得し、重複417件の統合と、PR配信・イベント告知・無関係な記事など596件の除外を経て、1,834件・73トピックの一覧にしています。
- 検索1回で返る件数の上限(100件)に、主要なキーワードが達していました。 9月21日〜27日の週の記録では「AI」「AIエージェント」「生成AI」がいずれも100件で止まっていたため、件数の多い語は日別にも取得する方式に変えました。それでも「AI」は日別でも各日の上限に達しており、網羅的ではないことを毎回の要約に明記しています。
- 注目度は記事ではなくトピック単位で付け、代表記事1本だけを最上位にする形にしました。 同じ話題を多くの媒体が報じても上位が同じ話題で埋まらず、★★★(必読)だけを見れば各話題の代表記事を一覧できます。10月4日〜10日の週の★★★は16件でした。
- 分類と注目度には判断が入ります。 迷った記事は「判断が割れそうな記事」として毎回1〜3件挙げ、人の確認を促す形にしています。
取り組んだ課題
アリストルは、AI研修やAI活用の支援を行う立場として、AI関連の製品発表、企業動向、規制、研究の動きを継続的に追う必要があります。社内では週初めにニュースブリーフィングを回しており、その型を読者向けに編集し直したものを「週刊AXニュース」として配信しています(創刊号での案内による)。
これまで、Web検索で数件を選んで要約する形のニュース収集のスキルも作ってきました(毎朝の主要ニュースの要約、キーワードごとに最大5件を選ぶ週初めのブリーフィング、直近24時間のAIニュースから5件を選ぶ日次の要約など)。ただ、件数を絞る方式では、その週に何がどれだけ報じられたかの全体像や、選ばれなかった記事は見えません。
そこで、Google News のRSSから見出しを全件集め、除外・重複統合・分類・注目度付けまでを行う「ニュースクリッピング」のエージェントを作り、2026年9月から週1回運用しています。
実施内容の概要
人とAIの役割
| 担当 | 役割 |
|---|---|
| アリストル | 対象期間とキーワード、X(旧Twitter)の注目投稿も集めるかを決める。出力を読み、「判断が割れそうな記事」を確認して、情報の使い道を決める |
| 手順書(スキル) | 取得・分類・出力の手順、注目度とカテゴリ(6区分)の基準、除外の基準、過去に起きた誤分類と対策、禁止事項を定義 |
| AIエージェント | 見出しを全件読み、その週のトピック辞書を書く。分類結果を点検して紛れ込みを直し、代表記事を選ぶ。注目トピック3点の要約と、網羅性の注意を書く |
| スクリプト | RSSの取得(件数の多い語は日別にも取得)、除外・重複統合、トピック辞書による分類、元記事URLへの置き換え、CSV・HTML・表の出力、Xの投稿の取得と候補の抽出 |
利用環境
- AIエージェント:Claude Code(スキル)。週1回、手動で起動します。
- 入力:Google News のRSS(見出し・媒体・日時・URL)。記事本文は原則として読みません(★★★の裏取りに限り、最大5件まで本文を確認します)。
- 任意:X API(日本語の投稿の検索)。認証情報は環境変数で管理し、チャットや画面に表示しません。
- 出力:CSV(全記事)、注目度・カテゴリ・トピックで絞り込めるHTML、チャットでの要約と表
変更した工程
人だけで行う場合は、検索結果やニュースサイトを見て回り、重要そうな記事を選んで書き留める、という流れになります。エージェントを使う流れは次のとおりです。
- 対象期間の確認:前回の最終日の翌日からを推奨し、週と週の間の取りこぼしを防ぐ
- キーワードの確認:9月7日〜27日の3週は「AI」「AIエージェント」「生成AI」の3語(初週は6語)。直近は、これにLLM・ChatGPT・Claude・Gemini の4語、AI専門メディア1サイトの指定、論文・研究系の4語を加えた12クエリ
- RSSの取得:全期間で90件以上になった語は、日別にも取得して補う
- 除外・重複統合:PR配信、SNS・動画、イベント告知、ハウツー、競馬予想、無関係な一般ニュースなどを除外し、件数だけ報告する
- トピック辞書と分類:エージェントが見出しを全件読み(週に2,000行前後)、その週に固有のトピックを書き足す(目安は★★★10〜16、★★20〜35)。分類して点検し、紛れ込みを1〜3周かけて直す
- 元記事URLへの置き換え:取得の直後からバックグラウンドで進め、注目度の高い代表記事から順に置き換える
- 出力:注目トピック3点、判断が割れそうな記事、網羅性の注意を添えて、表・CSV・HTMLを出す
- (任意)Xの注目投稿:★★★・★★のトピックから検索式を作り、反応の大きい投稿を50〜60件選んで、ニュースと同じ6カテゴリで表にする。投稿本文は転載せず、要旨を自分の言葉で書く
手順書上の処理時間の目安は全体で1〜2時間で、各段階の区切りで進捗を伝えるようにしています(設計上の目安で、実測ではありません)。トピック辞書、元記事URLのバックグラウンド置き換え、Xの注目投稿の表は、日別取得で1週の件数が数千件規模になった後、2026年10月に手順書へ加えたものです。
結果と検証条件
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 運用記録 | 2026年8月31日〜10月10日を対象とする6週分(2026年9月から週1回。出力ファイルの記録による) |
| 1週あたりの件数 | 8月31日〜9月27日の4週は、取得236〜327件(キーワードは初週6語、以降3語)。日別取得を加えた9月28日〜10月3日の週は取得2,353件・掲載1,468件、10月4日〜10日の週は取得2,847件・掲載1,834件 |
| 10月4日〜10日の週の内訳 | 重複統合417件、除外596件(PR配信・SNS等342、イベント告知・ハウツー等156、無関係98)、掲載1,834件・73トピック(★★★16件、★★350件) |
| Xの注目投稿(10月4日〜10日の週) | 60本の検索式で5,817件を取得し、59件を掲載 |
| 検証の方法 | 存在しないURL・見出しを作らない。要約の事実は見出しで裏付けられる範囲に限り、媒体名を添える。「可能性」「指摘」の段階の報道は断定しない。元記事URLに置き換えられなかった記事はその旨を表示する。点検では★★以上のトピックの全記事を確認する |
| 人による確認の時間 | 計測していません |
| 分類・注目度の妥当性 | 計測していません。迷った記事を毎回1〜3件挙げ、人が確認します |
| 初期構築の工数 | 計測していません |
この結果は当社の取り組みの記録です。同じ方法で、同じ範囲・品質・所要時間が得られることを示すものではありません。
うまくいかなかったこと・適用上の限界
- RSSの取得件数には上限があり、網羅はできません。 検索1回あたり100件までのため、件数の多い語は日別にも取得していますが、「AI」は日別でも各日の上限に達しています。
- 元記事URLへの置き換えに時間がかかります。 1件に数秒かかり、10月4日〜10日の週の出力時点で置き換えが済んでいたのは1,834件中337件でした。残りは Google News のリンクのまま表示し、置き換えが進んだら出力を作り直します。途中で止めて再起動した直後から、Google 側のアクセス制限が続いた例もありました。
- キーワードの部分一致で誤分類が起きます。 日付の「28日」が「28日間」を含むトピックに入る、無関係な固有名詞がモデル名の一部に一致する、といった例があり、手順書に誤分類の例と対策を書き足しています。
- 注目度とカテゴリには主観が入ります。 影響範囲、新規性、複数媒体での報道、一次情報性、媒体の信頼性の順で判断する基準を決めていますが、判断のぶれはなくなりません。
- 見出しだけで判断しています。 記事本文は★★★の裏取りに限って最大5件しか読まないため、見出しで分からない内容は一覧に反映されません。
- Xの一覧は標本の中での上位です。 反応数で絞り込む検索ができないため、話題別・日別に取得した投稿の中での上位になり、検索語に当たらない投稿は漏れます。
他の企業で検討する際のポイント
- 少数を選んで要約させるだけでなく、母集団(取得件数・除外件数・重複件数)を毎回報告させ、何を見ていないかが分かる形にする。
- 検索の取得上限を前提にし、網羅できていないことを出力に明記させる。
- 注目度は記事ではなく話題単位で付け、代表記事を1本選ばせると、同じ話題で上位が埋まらない。
- 存在しないURL・見出しを作らない、本文を転載しない、といった禁止事項を手順書に明記する。
- 誤分類の実例と対策を手順書に書き足し、週を重ねるごとに分類の手順を育てる。
- 判断が割れそうな記事を毎回挙げさせ、最終的な扱いは人が決める。
