代表 宮崎のコメント

今週は、PHP の脆弱性に端を発する AI リスクのニュースが言わずもがな世間の注目を得ました。なお、この脆弱性を見つけたのは ChatGPT であるといわれています。

また、能動型 AI「Claude Duet」「Muse」など、OpenAI の「dots」に続くサービスが注目されています。ニュースには追いつきませんでしたが、24日にリリースされた中国系モデル「Kimi」の能力が高い&安いということで注目されています。

なお、当社内では下記のような動きがありました。

① WordPress から静的 HTML への切り替え

当社では、もとより WordPress での HP 運用を止める計画を持っていましたが、今回の件を機に前倒しし、幾つかのウェブサイトは静的 HTML で管理し、GitHub から更新をする運用に切り替えました。そのため、今週は権限設定などに時間がとられています。

② 客先に常駐してのスキル開発(FDE プロジェクト)

先週、FDE プロジェクトの一つとして、客先に常駐しながらスキル開発を行う案件を行いました。現在のスキルの精度は高く、個社性、属人性の高い業務も、従来のフローをそこまで変えずに AI を活用しながら効率化できることを確認しました。今後は、このような個別部署に入り込み、属人性の高い業務をスキル化する動きが活発化していくと予想されます。

企業動向

エヌビディア、ドイツ政府とフィジカル AI の推進で協力

フィジカル AI 向けの先端 AI モデルの開発などを共同で進める意向表明に署名し、ドイツ政府・産業界・研究機関などでつくる「Industry 4.0 Platform」との協力も広げる。欧州向けの約100億ドルの投資枠から、ロボットや医療 AI などを手がけるドイツのスタートアップ4社への投資計画も示した。シーメンスとはAI による自律型工場の実現に向けて提携し、生産立ち上げの仮想化や AI による生産計画を進める。(出典:ビジネス+IT)

OpenAI、ChatGPT の広告を新たに26カ国へ拡大

中南米14カ国やナイジェリア、南アフリカ、ウクライナ、パキスタンなどが加わり、提供地域は世界89カ国になった。広告は商品やサービスを検索・比較する場面で関連する選択肢を示すもので、Free と Go プランだけに表示し、回答とは分けて広告と明示する。広告開始から8カ月余りで広告主は10万社を超え、今後は広告の形式や出稿・効果測定の機能を広げる。(出典:Impress Watch)

技術・製品動向

Anthropic、先回りして動く AI エージェント「Claude Duet」を提供開始

接続したアプリの重要事項を毎朝まとめて知らせ、日中も接続先を確認して、対応が必要なときにメッセージを送る。会議の日程調整、ダッシュボードの構築、財務・売上の予測、Web アプリの開発などを、仮想マシン上の独自ブラウザでユーザーの離席中も続けられる。メッセージの送信、支払い、署名、削除などの前にはユーザーの承認を求め、証券売買や口座間の資金移動には対応しない。Gmail、Slack、QuickBooks、Stripe、HubSpot、Shopify などと連携できる。まずリサーチプレビューとして米国の Pro・Max 契約者に提供し、米国外での提供時期は示していない。(出典:ビジネス+IT)

Meta、AI エージェント「Muse」を日本で提供開始

10月23日から提供している。チャットや音声で指示すると、メールの送信や EC サイトでの商品の検索・購入などを代行する。日本ではメルカリ、マネーフォワード ME、チケットぴあと連携し、各サービスを Muse から使えるようにした。作業は専用のコンピューター環境で進み、利用者がアプリを閉じた後も続いて、進捗に変化があれば通知する。メール送信や購入など重要な操作の前には承認を求める。今後はレイバンブランドのスマートグラスなど、眼鏡型端末にも対応する予定。(出典:日本経済新聞)

Microsoft、AI エージェントを監督・制御する仕組みを「Project Perception」に拡張

自律型 AI エージェントを使うセキュリティシステム「Project Perception」を、企業内で動く AI エージェントの監督・制御に広げる。監督役の「Guardian Agents」が行動を見張り、承認されたタスクに必要な権限だけを必要な期間に限って与え、リスクの変化に応じて読み取り・書き込み・機密情報へのアクセスを段階的に絞る。リスクが高い場合は人間の承認を求めるほか、実行環境の隔離や処理の停止も行う。AI エージェント自身に安全性の判断を委ねず、モデルの外側に独立した権限制御の仕組みを置く方針。(出典:Ledge.ai)

Canva、自社開発の画像生成モデル「Craft」を発表

社内の研究所 Canva Research が開発・学習したモデルで、Canva の Dream Lab と公開 API で使える。画像内の要素の位置や大きさ、文字などを先に計画するモデルと、その計画を画像にするモデルの2段階構成で、レイアウトや文字の配置を制御しやすいのが特徴。30種類以上の縦横比と最大2K解像度に対応し、55言語の文字を生成できる。今後は高速版の公開や、AI アシスタントなどから使える Canva MCP Server への対応も予定している。(出典:Unite.AI)

T2、自動運転トラックで一般道の一部区間の自動走行に国内で初めて成功

ドライバーが乗ったレベル2の大型トラックで、神奈川県で一般道から料金所を通って東名高速道路に入る区間と、兵庫県で中国自動車道から料金所を通って一般道に降りる区間を走った。料金所の通過や、歩行者などとの安全な距離を保って走る技術を実証した。高速道路と一般道を組み合わせた区間で、2027年1月からの商用運行開始を目指す。(出典:NHKニュース)

NTT、既存ソフトウェアの改修を AI で効率化する技術を発表

ソースコードとドキュメントを AI が理解できる状態に自動で整理し、両者の食い違いを見つけて直し、必要なテストを自動で補う。宿泊予約システムのデモでは、コードとドキュメントで食い違っていた検索可能期間を見つけてドキュメントを更新し、不足するテストを生成したうえで、AI が空室表示機能を改修して影響を自動テストで確かめた。予備実験では、食い違いの検知率が従来の RAG を使う手法の27%に対し、今回の技術では80%となった。今後、長期運用のシステムで効果を確かめ、企業の情報システム部門や SIer 向けにも展開する。(出典:クラウドWatch)

社会・消費者動向

PHP に重大な脆弱性、各国の政府機関や企業が対応に追われる

世界のウェブサイトの約69%で使われるプログラミング言語 PHP で、サーバー内部の情報の読み取りやサーバーの乗っ取りにつながりうる2種類の脆弱性が見つかった。PHP 財団が修正版を公開し、米国家安全保障局(NSA)など各国の当局が更新を呼びかけている。フィンランドやオランダは政府機関のサイトを一時遮断し、日本でもさくらインターネットや静岡銀行などがサービスを一時停止した。米国ではホワイトハウスが政府機関や主要 AI 企業と連携し、政府システムや重要インフラへの影響を評価している。脆弱性は OpenAI や Google 傘下の Wiz などが AI を使った検証で見つけ、8月に PHP 財団へ報告していた。(出典:日本経済新聞)

中国政府系のハッカー集団、AI ツール「ARTEX」をサイバー攻撃に利用

Microsoft によると、同社が「Storm-0940」と呼ぶ中国政府と関係する集団が、9月以降に ARTEX を使い、航空宇宙・防衛、法律、金融、自動車、メディアなど世界の数百の企業・組織を狙っていた。一部では標的を定めてからシステムの重要な管理権限を奪うまで3時間かからなかった。ARTEX は AI が自律的にシステムの脆弱性を探すオープンソースのツールで、7月下旬に公開されたが、悪用を受けて開発者が10月8日に非公開にした。ただし、公開中に取得されたコピーは引き続き使える可能性がある。日本でも大規模な攻撃に使われた可能性が確認されているが、Storm-0940 の関与は明らかになっていない。(出典:日本経済新聞)

デジタル庁、行政向け AI「源内」にエージェント機能を導入

国家公務員ら約18万人への提供を始めた。職員の指示に基づき、資料の検索、情報の整理、文書の作成など複数の工程を AI が自律的に進める。12月には職員が AI アプリを開発できる「源内工房」も導入し、外部に委託しているソフトウェア開発の一部を職員が担えるようにする。あわせて、AI の処理を人が監督することや、AI に過度に依存しないことを求める利用基準を定めた。(出典:日本経済新聞)

パナソニックHD、利用を禁じていた生成AIに約33万人分の個人情報を送出

9月下旬、人事情報システムの導入プロジェクトのメンバーが、従業員・元従業員とその家族の住所、電話番号、メールアドレス、社員番号を、社内で利用を禁止していた外部の生成AIサービスにアップロードした。対象は現役従業員約7万5000人、元従業員約17万8000人、その家族約8万1000人。個人情報の公開や不正利用は確認されておらず、サービス側でデータを学習に使う機能は無効だった。同社は個人情報保護委員会に報告して問い合わせ窓口を設け、サービス上のデータは10月25日以降に完全に削除されるとしている。(出典:日本経済新聞)

技術動向・研究

OpenAI、AI エージェントが監視機能を弱めた事例を確認

AI モデルの不適切な挙動を検知する社内の監視システムで、社内のコーディング作業2件を行っていた AI エージェントが、警告機能を弱めたり無効にしたりした事例を確認した。同社は、監視を回避しようとする傾向が今回の事例に限らず広く見られるかを検証し、追加の検証とより厳格な安全要件の適用を進める。一方で、エージェントがなぜそうしたのかは十分に説明できていないとしている。(出典:TBS CROSS DIG with Bloomberg)

SNSの動向

X(旧 Twitter)で反応の大きかった AI 関連の投稿のうち、情報漏えいやサイバー攻撃など安全性に関する投稿が6件で最多でした。Claude Duet や Muse など、常駐型の AI エージェントの登場を伝える投稿も相次ぎました。

話題 投稿の内容 反応
パナソニックの約33万人分の個人情報 速報系のアカウントが、社員による生成 AI への送信で約33万人分の個人情報が外部に出たと速報。今週もっとも拡散した投稿 表示 約891万回
国内の不正アクセスと中国系 AI「ARTEX」 GMO 系の調査で ARTEX が国内企業への攻撃に使われたとする報道を紹介する投稿(個々の情報漏えいとの関係は確認されていない) 表示 約101万回
AI の安全対策と医療現場 医師の立場から、最新の Claude は生物・サイバー系の質問を強く拒むため、通常の臨床の質問まで止まってしまうとの指摘 表示 約68万回
OpenAI のエージェントによる監視の弱体化 OpenAI が、AI エージェントが安全監視を無効にした事例を公表したとの速報 表示 約25万回
米政府の DeepSeek 排除 ロイターの報道として、米政府が非軍事機関に DeepSeek の削除を命じ、関連サービスの調達も禁じたとの速報 表示 約22万回
PHP の脆弱性 修正版の公開後の続報や、国内のサービス停止の状況を整理する投稿 表示 各1万回未満
AI エージェントの新サービス 日経が Meta「Muse」の日本開始、ロイターが Anthropic「Claude Duet」の発表を報道。Google マップでの Gemini の車載利用の紹介、エージェントを人間向けサービスにログインさせる発想への疑問の声も 表示 約8.5万回(日経)、約2.1万回(ロイター)
デジタル庁「源内」 ITmedia NEWS が、政府職員18万人への AI エージェント環境の展開と独自の安全基準を紹介 表示 約11万回(ITmedia NEWS)
AI の研究成果 Anthropic の形式検証の研究を「バグがないこと」を数学的に示す試みとして解説する投稿、AI が設計した治療用ウイルスをヒトに投与した事例への驚き 表示 約14万回、約12万回
Claude Code の活用 プロジェクト全体を地図にして AI の読み直しを減らす OSS の紹介、手元の素材から縦型の動画広告50本を約4時間で作らせた報告 表示 約17万回など
自動運転・AI での買い物 T2 が切り替え拠点での自動発着に成功と発表、米オースティンでハンドルのないテスラのロボタクシーに乗った体験談。ロイターはウォルマートの AI エージェント向け代理購入機能を報道 表示 約1.4万回(ロイター)、約0.6万回(T2)

ニュースでは PHP の脆弱性が大きく扱われましたが、SNS では身近な企業の情報漏えいへの反応が桁違いに大きくなりました。

ツールの更新情報

ツール 変更点 業務で「任せられる仕事」への影響
Claude Duet(米国・リサーチプレビュー) 先回りして通知し、離席中も仮想マシン上で作業を続ける。送信・支払い・署名・削除は承認制 日程調整・ダッシュボード作成・売上予測など、段取りの多い仕事を任せやすくなる。日本での提供時期は未定
Meta Muse(日本) メルカリ、マネーフォワード ME、チケットぴあと連携し、メール送信や買い物を代行 消費者の買い物や手続きの入口が AI エージェントに移り始める。EC・サービス事業者は連携への対応が課題に
Canva Craft 画像生成モデル。Dream Lab と API で提供し、レイアウトや文字の配置を制御しやすい 文字入りのバナーや販促画像の下書きを任せやすくなる
Microsoft Project Perception 監督役の「Guardian Agents」が社内の AI エージェントを見張り、権限をタスク単位で付与・縮小 エージェントに任せる範囲を広げる前提となる、権限管理と監督の仕組みづくりの参考になる
Kimi K3.1 Pro(Moonshot AI) 10月24日に公開。100万トークンの文脈に対応し、API 料金を前モデルから3割あまり引き下げ。11月4日までに重みを公開予定 量の多い処理を低コストで回す選択肢が増える。業務データを扱う場合は利用規約とデータの扱いの確認が前提