ガイドライン・規制動向
チームみらい、AI 活用に向けた規制改革と雇用支援を政府に提言
政党のチームみらいは10月26日、安野党首らが木原官房長官と面会し、AI の活用に向けた提言を手渡した。新しい技術やサービスの実用化に向けて規制・制度の改革を進めるとともに、AI の普及で仕事を失う「AI 失業」への備えとして、就業の支援に取り組むよう求めた。(出典:NHKニュース)
企業動向
GMOインターネット、FX 自動売買向けクラウドへの不正アクセスで顧客情報の持ち出しを確認
FX 自動売買向けのサービス「お名前.com デスクトップクラウド」への不正アクセスで、顧客情報の外部への持ち出しを確認したと発表した。影響の可能性があるサーバーは2万6739件で、一部の利用者からは身に覚えのない取引の報告もあった。現利用者全員に一律5000円の見舞金を支給し、不正アクセスが原因と認めた不正取引の差損や手数料などの損失も補償する。現行のシステム基盤は再開せず、利用を続ける契約者には独立したクラウド基盤の代替サービスへの移行を案内し、移行後6カ月は無償で提供する。攻撃者とみられる者から金銭の要求や追加攻撃の脅迫を受けたが応じず、警察などと連携して対応するとし、調査には AI を使った分析環境も活用している。(出典:Ledge.ai)
暗号資産取引所 Binance、不正アクセスで60億ドル超が流出
10月29日(米国時間)、デジタルウォレットへの不正アクセスで60億ドル(約9440億円)を超える暗号資産が流出し、過去最大規模の暗号資産の盗難となった。初期調査では、攻撃者はエンジニアのノートパソコンを経由して侵入したとみられ、サービスのコンテナから不正な出金指示を送れる状態になっていたという。暗号資産関連企業のチームが約30億ドル相当を凍結し、Binance は自社資産や緊急準備基金から被害額を全額補塡すると表明して、入出金を一時停止した。複数のブロックチェーン分析企業が北朝鮮のハッカー部隊の関与の可能性を指摘しているが、確認はされていない。(出典:CNN)
Microsoft、4カ国で約6万人の希望退職を募集
米国、英国、インド、カナダで、6月末時点の全従業員22万3000人の約27%にあたる約6万人が応募できる。日本は対象外。10月26日に対象者へ通知し、応募した社員は年末に退職する。2026年4月にも米国で希望退職を募り(対象は約8750人)、7月には世界で4800人の削減を発表していた。並行して、AI の計算資源を確保するためにデータセンターや半導体への投資を強化し、事業領域の見直しを進めている。(出典:日本経済新聞)
Anthropic、米ナスダック上場へ目論見書を公表 AI インフラで総額130兆円規模の契約
10月26日に目論見書(S-1)を公表した。11月の IPO では1000億ドル(約15.7兆円)規模の資金調達が見込まれ、公開後の企業価値は1兆5000億〜2兆ドルが軸とされる。目論見書では、AI インフラの確保に向けて今後の支払い義務が総額130兆円規模にのぼる契約を結んでいることを開示し、Google、Amazon、Broadcom とはそれぞれ1000億ドルを超える調達契約がある。2026年1〜6月期の売上高は162億ドル、最終損益は807億ドルの赤字(大半は転換社債などの評価損で、現金の流出を伴わない)だった一方、4〜6月期は営業損益が9億7400万ドルの黒字となった。(出典:日本経済新聞)
Anthropic、バイオ企業を買収して自社で創薬に着手
新薬の開発に取り組む6組織との提携に加え、小児の希少な筋ジストロフィーの治療法を研究してきた米 Mithril Medicine を買収し、その研究を社内で続ける。LAMA2 関連先天性筋ジストロフィーでは、2種類の標的に結合する二重特異性抗体で筋膜を固定する治療法を研究しており、疾患モデルのマウスを使った予備試験では、試作した抗体の1つを6週間投与したマウスで前脚の筋力と握力が対照群の約2倍になった。113種類の候補抗体を外部の受託研究機関5社で評価する計画づくりや、製造データの分析、外部機関への連絡文書の下書きに Claude を使った一方、Claude が抗体の数量を誤って記載するなど、人の確認をすり抜けて外部機関に届いた誤りも少なくとも3件あった。早ければ2028年後半に人を対象とした臨床試験を始められるとしている。(出典:ITmedia NEWS)
トヨタと Waymo、2027年に日本で無人ロボタクシーの運行を開始
10月30日に発表した。トヨタの EV「bZ4X」をベースに、特定の条件下で運転手が要らないレベル4の自動運転に対応する車両を生産する。トヨタが高岡工場で自動開閉ドアなどのタクシー仕様を施した車両を生産・提供し、Waymo が自動運転システムを組み込む。日本での運行開始後は、英国など他国への展開も予定している。Waymo は別途、東京都内で2027年に日本交通や配車アプリ「GO」と連携し、100台規模の商用運行を始める計画を示している。(出典:日本経済新聞)
KDDI と ELYZA、AI ロボットの新会社を設立 2030年度までに1000台以上を導入へ
AI でロボットが周囲を認識・判断して動く「フィジカル AI」の開発・導入を担う新会社「ELYZA Robotics」を設立し、10月から事業を始めた。KDDI グループは2030年度までに研究開発へ300億円を投資して専門人材300人以上の組織をつくり、小売店、物流倉庫、工場などに1000台以上のロボットを導入する計画。ロボットは産業用、四足歩行、人型などを国内外のメーカーから調達し、業務に応じて AI やシステムを調整して提供する。棚卸し、品出し、接客、荷物の運搬、欠品の検知などを想定し、ローソンやソラコムなどのグループ各社と実証を進めて、現場で得たデータを AI の改良に生かす。(出典:CNET Japan)
技術・製品動向
Microsoft、GitHub Copilot を支えるエージェント実行基盤を外部に提供
10月28日、GitHub Copilot などを支えるエージェントの実行の仕組み「Microsoft Copilot harness」を、Microsoft Foundry Agent Service のパブリックプレビューとして提供し始めた。エージェントのループ処理や実行環境は Microsoft 側が管理し、開発者はファイル操作、コードの実行、Web コンテンツの取得、サブエージェントへの作業の委譲などを組み合わせたエージェントをつくれる。現時点では本番環境向けの SLA がなく、既存のエージェントからの切り替えや独自モデルの持ち込みにも対応していない。12月1日からはサンドボックスの従量課金が始まり、モデルの推論費用に加えてコンピュート費用がかかる。(出典:XenoSpectrum)
Google、新モデル「Gemini 4 Carbon」を発表 サイバー防御と長時間のタスクを強化
10月28日(現地時間)に発表した。「Gemini 4 Argon」の一般提供から約2週間での更新で、AI エージェントによるソフトウェア開発、サイバーセキュリティ、長時間にわたる複雑なタスクの処理、コーディングの能力を高めた。Artificial Analysis Intelligence Index v5.0 では59ポイントと、Argon の50ポイントから9ポイント上がった。安全なコードの生成成功率は Argon の2倍以上、ハルシネーションは約半分になり、間接的プロンプトインジェクションの攻撃成功率は0.7%から0.0%に下がった。まずは Google の「Fairwind Program」に参加する一部のサイバー防御組織に限って提供し、開発者・企業・一般ユーザーへの提供時期は未定。(出典:ITmedia NEWS)
OpenAI、「GPT-6.1 Terra」を発表 API 料金は従来モデルの半額
10月26日に発表した。視覚的推論、コンピューター操作、文章作成に対応し、提案書の作成、技術図面の読み取り、フォーム入力、アプリ操作などの業務の自動化に使える。標準の API 料金は100万トークンあたり入力1ドル・出力5ドルで、GPT-5.6 Terra や GPT-6.1 Sol の半額とした。業務タスク、視覚的推論、コンピューター操作など複数のベンチマークで GPT-5.6 Terra を上回り、社内評価の誤り率は53.6%から16.7%に下がった(推論の労力を「低」にした設定)。最も複雑なコーディングには GPT-6.1 Sol や GPT-6 Astra が適するとしている。ChatGPT では Work と Codex で順次提供する。(出典:Ledge.ai)
Anthropic、Claude の有料プランを改称 「Ultra」は5時間ごとの利用制限を撤廃
10月30日(米国時間)、「Max 5x」を「Max」に、「Max 20x」を「Ultra」に改称した。月額料金はそれぞれ100ドル、200ドルのまま。Ultra では認証済みのアカウントを対象に5時間ごとの利用量の制限をなくし、週の利用上限の範囲で使えるようにした(新規アカウントは認証が終わるまで一時的な制限が残る)。Max は Pro の5倍の利用量を5時間ごとに得られ、上位モデル「Fable」や Claude API の月額クレジットも使える。Ultra は Pro の10倍の利用量を毎週得られ、API の月額クレジットも含む。(出典:Impress Watch)
Amazon、生成 AI を搭載した「Alexa+」の早期アクセスを日本で開始 プライム会員は無料
10月29日に早期アクセスを始め、対応機器の利用者に順次案内している。Echo、Fire TV、Fire TV 搭載のスマートテレビ、Alexa アプリ、Web サイト「alexa.jp」から使える。早期アクセスの間は無料で、終了後は月額3000円、Amazon プライム会員は追加料金なし。商品の比較やレビューの要約、配送状況の確認、値下がりの通知、レシピの提案や買い物リストの作成などに対応し、今後は「食べログ」での飲食店の予約、Uber Eats や出前館での注文、チケットぴあでのチケット購入にも対応する予定。日本語向けには、会話の文脈や言外の意図を読み取る機能を開発した。(出典:CNET Japan)
Apple、「Siri AI」の日本語対応を開始 複数のアプリをまたいだ操作に対応
10月26日に始めた。対応端末をソフトウェアアップデートすると使え、日本語の音声でメールやメッセージの下書き・送信などができる。LINE などの外部アプリとも連携し、端末内の過去のメッセージなどのデータを活用して、複数のアプリを横断して操作する。会話の履歴は専用アプリに保存でき、iPad など他の Apple 製品にも引き継げる。フランス語、スペイン語、韓国語などへの対応も始めた。一方、安全性を考慮し、EC サイトでの決済の代行には現時点で対応していない。(出典:日本経済新聞)
SNSの動向
X(旧 Twitter)でいいね数の上位20件に入った AI 関連の投稿のうち、Claude Code や Codex を狙った攻撃などAI コーディングツールの安全性に関する投稿が3件入り、なかでも乗っ取りの恐れを解説した投稿は表示が100万回を超えました。
| 話題 | 投稿の内容 | 反応 |
|---|---|---|
| Claude Code・Codex を狙う攻撃 | ダウンロードフォルダで Claude Code や Codex を起動すると乗っ取られる恐れがあるとの報告を解説し、修正版がまだない点を強調。今週もっとも拡散した投稿 | 表示 約106万回 |
| Siri AI の日本語対応 | iOS 27.2 の配信開始で「Siri AI」が日本語に対応したとの速報 | 表示 約50万回 |
| ChatGPT の服薬助言をめぐる提訴 | 抗てんかん薬の中止を ChatGPT が助言したとして、遺族が OpenAI を提訴したことを紹介。減薬の予定日が繰り返し前倒しされたという | 表示 約20万回 |
| フィジカル AI・自動運転 | 日経が、イオンが Mujin と組んだ物流拠点で8割の省人化を目指すと報道し、Mujin も「イオン川口東XD」の本格稼働を発表。トヨタと Waymo の提携では、トヨタは車両の提供側で、自動運転技術や運営・運賃収入は Waymo 側が担うとの指摘 | 表示 約5.1万回(日経)、約1.2万回(Mujin)、約1.1万回 |
| AI アシスタントの新サービス | Amazon が公式アカウントで「Alexa+」の日本での提供開始を告知。Meta「Muse」では、アバターがアニメ声で話すスキルを自ら作り、記事と画像も作ったという利用例が紹介された | 表示 約4.9万回(Amazon)、約4.8万回 |
| Anthropic の上場申請 | 日経が、AI モデル専業の大手として米国初の上場で OpenAI に先行すると報道。日経の調査報道チームは、売上高が2年で100倍になり、300ページ超の目論見書の90ページ超をリスクの記載が占めると紹介 | 表示 約4.8万回(日経)、約1.2万回(日経データ・調査報道) |
| AI コーディングツールの改ざん・不正 | Cursor のマーケットプレイスで配られた改ざん版の Claude Code 拡張(v2.1.313)について、Cursor も最大5000人への影響を認めたとの紹介。GIGAZINE は、Claude Mythos 5 が GitHub に悪意あるコードを送り込んだ問題の原因を Anthropic が分析したと報道 | 表示 約4.6万回、約0.8万回(GIGAZINE) |
| 料金プランとモデルの使い分け | Claude の Max 20x が「Ultra」に改名され5時間制限が撤廃(週の上限には注意との指摘)、ChatGPT Pro の利用枠の拡大と削減の撤回を整理する投稿、OpenAI の研究者が示した GPT-6.1 Terra・Sol・Astra の使い分けの紹介 | 表示 約4.3万回、約2.1万回、約1.7万回 |
| 指数時間仮説の反証 | OpenAI が k-SAT を指数より短い時間で解けると示し、指数時間仮説を否定したとの紹介(P≠NP の結論ではないとの補足付き)。さらなる検証を待ちたいとの慎重な反応も | 表示 約3.9万回、約0.8万回 |
| デジタル庁の国会答弁作成 AI | デジタル庁が公式アカウントで、「源内」での国会答弁の作成を支援する AI の試作版の提供開始を告知。判断は AI に任せず、職員が検討に時間を使うためと説明 | 表示 約2.8万回(デジタル庁) |
| AI をめぐる政治・相場 | 「AI」の呼称の使用禁止は表現の自由への介入だと強く批判する投稿、大手の AI 企業が上場している段階ではバブルは崩壊しないとの持論 | 表示 約1.3万回、約1.2万回 |
ニュースでは GMO や Binance の被害が大きく扱われましたが、SNS では日々使う AI ツールそのものが攻撃の入口になることへの反応が目立ちました。
ツールの更新情報
| ツール | 変更点 | 業務で「任せられる仕事」への影響 |
|---|---|---|
| Microsoft Copilot harness(パブリックプレビュー) | GitHub Copilot を支えるエージェントの実行基盤を Foundry Agent Service で提供。ループ処理・実行環境・サブエージェントへの委譲を Microsoft 側で管理 | 自社業務向けのエージェントを、実行環境づくりから始めずに組める。本番向けの SLA がなく、12月からサンドボックスの従量課金が始まる点に注意 |
| Gemini 4 Carbon | 長時間の複雑なタスクとサイバー防御を強化。まず一部のサイバー防御組織に限定提供 | 大規模なコードの調査・修正など、数日がかりの仕事を任せる方向に進む。一般提供の時期は未定 |
| GPT-6.1 Terra | 視覚的推論・コンピューター操作・文章作成に対応。API は従来モデルの半額 | 提案書の作成、図面の読み取り、フォーム入力など、画面を使う定型業務を低コストで任せやすくなる |
| Claude Max/Ultra | Max 5x を Max、Max 20x を Ultra に改称。Ultra は5時間ごとの制限を撤廃(週の上限は残る) | 長時間のエージェント作業を途中で止めずに回しやすくなる。週の上限の管理は引き続き必要 |
| Alexa+(日本・早期アクセス) | 買い物、予定管理、家電操作に対応。プライム会員は追加料金なし | 消費者の買い物や予約の入口が音声の AI アシスタントに移り始める。EC・飲食などの事業者は連携への対応が課題に |
| Siri AI(日本語) | メッセージの送信や複数アプリをまたいだ操作に対応。決済の代行は未対応 | スマートフォン上の定型の連絡や操作を、音声で任せやすくなる |
代表 宮崎のコメント
今週は、GMO へのセキュリティ攻撃に関するニュースが世間の注目の多くを集めました。昨日の会見も印象的でしたが、企業の規模を問わず対岸の火事とは思えない状況が続いております。
また、Microsoft が全従業員の約3割に該当する約6万人に希望退職を募る一方、AI 関連に更に投資するといった大胆な経営が注目を集めました。Copilot でも新しい開発基盤が発表されています。
なお、先週、社内ではAI エージェント時代の組織構造について、各ワードの認識統一と先行事例を研究しました。
研究会で議題にした記事は次の2本です。
プロンプトテンプレートやエージェント機能の概念が「スキル」となることが主流になりつつありますが、どこからどこまでを一つのスキルと区分するのが肝である、という話になりました。
例えば、一連の業務フローが A⇒B⇒C⇒D⇒E とある中で、次の2つの手法が考えられます。
グラフエンジニアリングが主に2の思想で語られますが、業務の多くはそこまでの複雑性は不要であり、1でも事足りるのではないかと思います。一方で、ソフトウェアコーディングでは、設計、コード、デバッグなど、複数の工程があるため、グラフエンジニアリングの視点が有効に思います。
また、SpaceXAI のエンジニア Lauren Tan の AI エージェントの活用例(YouTube)では、プルリク(コードの編集)を月に1,000件一人で出しているということで、想像を上回る使い方にキャッチアップしていかなければいけないと感じた次第です。